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当院でのマウスピース矯正について

2023年01月30日

最近ニュースで大規模なマウスピース矯正治療のトラブル、訴訟についが取り上げられています。

私見ですが少しだけお話ししたいと思います。

マウスピース矯正とは

ブラケットやアーチワイヤーといった従来からのワイヤー矯正とは全く異なる、

「マウスピースを使用して歯を動かす」という新しい矯正治療の方法です。

メリットとしては、審美的に良い、歯磨きがしやすい、来院間隔を空けられる(ことが多い)、

デメリットとしては、しっかりと使用しないと効果が出ない、対応できるケースが限られる

などが挙げられます。

 

マウスピース矯正をするには○○が必要

・矯正治療のしっかりとした勉強と理解が必要

ただし、マウスピース矯正の歯の動きは、ワイヤー矯正などの矯正治療での基本的な歯の動きについての理解が十分にできている必要があります。

これは、矯正治療専門での勉強を専門機関で長年行わないと、なかなか身につかないものです。

 

ちなみに日本矯正歯科学会などの資格を取るためには7年から10年ほどの期間が必要になります。

これでも矯正歯科医として一人前かというと必ずしもそうとは言えず、「とりあえず」一人前だと感じています。

そこからさらにたくさんの治療と向き合い勉強を行って、本当の一人前になっていく、矯正治療とは本当に奥の深い治療です。

 

マウスピース矯正も基本的な原理原則を理解している必要があることを踏まえると、担当医が矯正専門の勉強をしてきているのかは矯正歯科医院を選ぶ上で重要だと、私は考えています(あくまで私見です)。

ちなみに○○セミナー終了、○○社認定、などは参考にせず、大学病院の歯科矯正学講座に在籍していたか、日本矯正歯科学会のような大きな学会の認定医等の資格を持っているかなどを参考にしてください。

 

マウスピースの通りに歯が動く?

残念ながら、マウスピース矯正はマウスピースに合わせてしっかりと歯は動いてくれません。

マウスピース矯正治療中の歯の移動に問題があれば、当院の場合必要とあれば部分的にワイヤー装置を使います(もちろん審美面も配慮し、患者さんの同意を得たうえで)。ここでもワイヤー矯正をはじめとした他の治療に習熟していることが必要になってきます(大事なポイントです)。

 

○○プロバイダーとは

今回の総称トラブルで、レッドダイヤモンドプロバイダーなどのランク付けしている歯科医について。

記事の内容にあるように、このような○○プロバイダーというのはあくまで年間の治療数によって与えられるものです。

もちろんマイナスではありませんが、これは治療が上手かどうかを示しているものではありません。

ちなみにレッドダイヤモンドプロバイダーは年間1001人以上(だと思います。今回の記事のコメントを参考にしていますので間違っていたらすみません)。

年間250日仕事をしていたら毎日4人の新患を受け入れてそれぞれの患者さん毎に治療計画をインビザ社と打ち合わせる(当院だと一度の計画にに平均3回、1人の患者さん毎に2~3回ほど計画を修正するので約8回ほど打ち合わせます)と一日30回以上、年間8000回の打ち合わせということになります。

年間8000回、、、どのように感じますか?

仕事の分担をうまくやっているのかもしれませんが、全て一人のドクターでやるのは私のレベルでは無理だと思います。

 

避けた方がいい?歯科医院選びの際の簡単な見分け方

そもそも無料とか割引、というのは基本的には医療では使ってはいけません。

医療では誘因性のある言葉を使用するのは基本NGです。

なので、学会の方でそういった文言が入っていないかチェックが入ることもありますし、Web広告の審査ではそういったものは却下されます。

逆に言えば、そういった言葉(今回の訴訟でいえば実質無料、でしょうか)を使っているということは、しっかりと勉強してしっかりとした学会に所属していない、ということかもしれません。

 

マウスピース矯正でのトラブルは本当に多い

最近当院でも、他院のマウスピース矯正のトラブルでのセカンドオピニオンの相談のケースが徐々に増えてきています。

その多くは、その段階から治療を進めるよりもマウスピース矯正を始める前の方が治療を始めた方がむしろ簡単だった、というような状況です。

中にはリスクが高すぎて、ワイヤー矯正を受けるのは難しい、というようなこともあります。

また当院では、遠方からの転院の方は受け入れていますが、札幌市内の他院からの転院は原則として受け入れておりません。

基本的には矯正治療を開始したクリニックで、責任をもって治療を受けてもらっています。

 

当院でのマウスピース矯正について

実は当院でもマウスピース矯正を扱っています。が、マウスピース矯正で治療可能なケースは当院の場合25%から30%ほどです。

もっと理解が深まればもう少し増えるとは思いますがそれでもそこまでは多くならないと思います。

 

・マウスピース矯正はそれ自体悪いものではありません。

ここまでいろいろと書きましたが、マウスピース矯正自体が悪い治療というわけではありません。

状況によってはむしろワイヤー矯正より有利には働く場合もあります。

また、友人でワイヤー矯正を主として治療を行っているクリニックもあり、その手腕や技量には舌を巻く、そういったクリニックもあります(北海道・札幌の先生ではないので、ご紹介はしておりません。申し訳ありません)。

 

まとめ

以上です。

このブログが皆様の医院選びの参考になったり、お口のトラブルに巻き込まれずに済むきっかけになれば幸いです。

 

円山さくらぎ矯正歯科

院長 桜木 修